急に涼しくなって酷い夏バテから解放され体が軽くなって来た。つい先週まで汗だくになりながらのフラメンコの練習も身が入る。
課題曲のソレアを少しづつ進めている。週にファルセータを二つが目標だが、一つだったり二週かけたりとなかなか前に進まないのが現状だ。思った以上に奥が深く、厳格で威厳のあるソレア。そんな中に身を置き、彷徨いながら悪戦苦闘も決して悪くはない。こんなに音楽に夢中になったのはいったい何年ぶりの事だろうか。
プロの世界から離脱し情熱はすっかり冷め、意欲の喪失を感じだし、湧き出る泉のごとく溢れていた曲のアイデアやフレーズがすっかり枯れ果ててしまった。設計の仕事が忙しくなり、必要とされる技術の習得とこなさなければいけない膨大な仕事量に、興味や情熱や好奇心といったものは、流れとして当然クロスフェードしていった。
そんな十年近くでも、好きななギタリストの音楽を聴いたり新しい楽器を買ったりMacで遊んだりはしていた。さしずめ、時間を掛けずにお金で買える「大人の趣味」としての音楽の様相を呈し、そんな付き合いが自然な感じがした。
ギター熱が再燃し既に半年が過ぎ、以前とは対局の状態が続いている。熱きノスタルジーを捨てきれず、忘れかけていたものを探している感覚はあまりない。どちらかというと未だ見ぬ何かに対する好奇心といったところだ。
曲を進めていると、初めての見るテクニッックが多い。フレーズとして聴いていたのはこんな風に指を動かすのかと感心する。友人にフラメンコギタリストが二人いるが、彼らの音楽性ばかり興味の対象があったので、技術面は殆どじっくり見た事がなかった。彼らもこの独特な演奏技術を時間を掛けて習得したのかと思うと、ライバル(一方的な認識・笑)としてはやる気が出てくる。
ラスゲアード、ゴルペ、高速アルペジオ、プルガール、五連トレモロ、ピカード・・・。これらの奏法がたくみに組合わさり、コンパスの上で曲が進行する。フラットピックで演奏していた僕にとって、これらの右指の持つ多彩な表現力の深さにすっかり翻弄される。それでいて出てくるコードはAm、C、F、Eの四つしか出てこない。それに運指は解放弦から3フレットまでしか出てこない。現在曲の中盤だが一度だけ4フレットのスラーが出てくるだけで全くポジションの移動がないのには驚かされる。しかし、うまく弾きこなせない。上達の速度や記憶力は若い時と比べるとかなり落ちている。
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これほどギターという楽器の特性を完璧に利用した音楽はフラメンコしかないと個人的に思っている。(人によって異論はあるとは思うが。)最低限の演奏に要求される基本技術は非常に高く、この敷居の高さが僕にとっての魅力の一つだ。
今日の一枚は先週帰省した実家から見える田園風景。