多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

Los Crazones


http://web.me.com/acoustic_rendezvous/site/Los_Corazones.html

先日MDからMacに取り込んだ曲だ。(M-1〜M-4)
昔、録音した曲で、1991年10月に録音したものだ(当時23歳)。まだ、当時デジタル録音機材はプロ仕様のものばかりで僕達の手の届くものではなかった。お金を出しあったり、出演したステージでの演奏料を貯めたりしてTascamの8Trのカセットテーブ式のマルチトラックレコーダーでレコーディングを行った。録音技術なんてよく解らなかったので、色々とマイクの向きを試してみたりしてかなり苦労したものだ。

今の時代のデジタルレーコンディングではないのでノイズも目立つし、音の線も細いはリバーブはかけ過ぎている。演奏自体も荒削りでミスノートやテンポのずれが随所に見られる。いや、そんな事当時でも充分解ってはいたが何故か何回も録り直しとかはしなかった。ほぼ数テイクで完了だった。

悪い部分だけ録り直したりしていい物が出来たとして、それに何の意味があるのか?。実際に演奏不可能な曲を録音しても、生の音を聴いてもらえないのでは意味がない。

そう思って切ったり貼ったりする制作は一切避けて、気分を盛り上げて調子のいいときに一気に録ってしまっていた。ライブと同じものを残そうとクリック音すら聴かずに、イッセイので録音していた。人が悩みもがき苦しみ、喜びに感極まる生々しさが感じられる空気そのものを録りたかった。

だから、少々は気にしなかった。その時の自分のそのままの演奏を残す事に徹した。

不思議な事に、この頃何故か殆ど譜面を使わず、自分のパートと相手のパートを頭の中で作りながら、フレーズをひとつひとつ相手に教え合って、その場で覚えて帰ったものだ。自宅で思いだして練習して何回かリハやって細かく作り込んでレコーディングだった。譜面でやり取りするようになったのは何年も後になって、東京でレコーディングするようになってからだった。

いまだに、この頃のLos Crazonesサウンドが好きでいてくれる方もおられて、自分もこの頃の音楽性は今も引き継いでいるのも事実である。当時の相方の影響で40歳を過ぎた今頃、フラメンコに夢中になっている訳だし。