多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

ビセンテとの接点


覚えたてのタランタを時間を作って毎日練習する日々。同じ曲を何回も何回も練習する事で少しづつ弾けなかったフレーズが弾けるようになってくる。無駄な力が抜けて、指板を見なくて弾けるようになったものの、最後まで通しではまだまだ弾けない。トレモロが終わった辺りで筋力的に限界がやって来て、一回休んで最後までようやくたどり着く。得意な所と苦手な所が明確になって、今は一つづつ潰している状態。

それでも、同じ曲ばかり弾いていると少し飽きてくるので、次の課題曲を探し始めている。気になっているのは、またまたビセンテのファルーカ「シリアと時」が弾いてみたい曲だ。

実はビセンテとは以前お会いした事がある。1992年ソロとして初めて(1990年に伴奏で初来日している。)公演したときに主催者側の関係者にちょっとしたコネクションがあって、どうぞどうぞって感じだったのでお言葉に甘えた。気難しいような事を聞いていたので、どうかと思っていたが案外簡単に受け入れてもらい軽く会話をした。といっても僕はスペイン語は全くで会話にならない。サインをもらって美人の奥さんとも握手した。一緒に行った家内はビセンテにハグされてほっぺにチューまでしてもらった。僕とビセンテは確か同い歳で同じ年に結婚しているという無理矢理な共通点がある。ルックスとギターの上手さでは、足下にも及ばない。(泣)

パコ・デ・ルシアの後継者として発売されたソロアルバム「我が心を風に解き放てば(De Mi Corazon Al Aire)」は聴いて素晴らしいアルバムだったし、公演も素晴らしかった。当時の僕はJazz系のギタースタイルだったのでフラメンコの演奏技術的な事は解らなかったし、本格的な興味の対象では無かったにせよ、かなり衝撃的だった公演だったと記憶している。それ以来、僕は音楽的な影響を彼からかなり受けた。その直後に「Para Mi Amigo」というルンバ形式のような曲を書くきっかけの一つになった。



その時のパンフレットにこう書いてある。


スペイン新世代のフラメンコ・ギタリストの頂点を歩む男。
その情熱の前には、すべてがひれ伏す


それから17年も経った今では、僕のあこがれのギタリストだ。少しでもビセンテになりたくて頑張っている。
今頃になって何なのだろうこの17年のずれ・・・。