多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

紅葉と桜

うかうかしていると危うく見頃を逃しそうだったので手短なところで紅葉を見に行きました。紅葉(こうよう)で有名なところではありませんが数本の紅葉(もみじ)があります。

ここまで書いて木々の葉が色づく「こうよう」と赤く染まった葉の「もみじ」を文章として使い分けているのですが、あいにくどちらも「紅葉」と変換されるので文章が難しい。ここは日本語の不思議なところで、どうして別の漢字を使わなかったのでしょうか。

それで、太陽の光を透かしてきれいな紅葉を望遠で撮っていると、突然手前にある花にカメラがフォーカスしました。小さい薄桃色の花で、なんだろうなあと考えても名前が浮かばない。

......桜?。

そう、どう見ても正真正銘の桜です。桜の特徴でもある花柄(かへい ※1,)が長くヤマザクラ系の桜のようです。品種はよくわかりませんが、まさか紅葉をバックに桜が見られるとは思いもよりませんでした。

そういう秋に咲く種類の桜なのか。あるいは気象条件によって現れた「狂い咲き」なのかはわかりませんが、秋に咲いている桜がせっかく現実として実態を伴いこうやって存在しているというのに、「秋桜」という漢字は「コスモス」に譲ってしまったのはいささか残念でなりません。

少し歩くとイチョウの木があり落葉して黄色い絨毯のようになっています。この限定された木の袂の直径数メートルの範囲のところだけ。そんな絨毯に乾いた音を立てならが腰を下ろして両手いっぱいのイチョウの葉を大空高く舞い上げたくなる衝動にかられます。

木の名前の「いちょう」とその実である「ぎんなん」も「銀杏」と表すのも文章を書きにくくなりそうで、ここもあえて別の漢字を使ってほしいところでもあります。いや、そこは欲しかった、と言うべきところでしょう。

池にはマガモオオバンなど水鳥が渡ってきていました。

水面にきれいな鏡像が現れ、帰って天地反転させると面白い絵になりました。

彩り豊で日本の秋は本当にいいですね。他の国の秋は知りませんが。


※1, 花びらを支える茎部分を花柄(かへい)が文様の花柄(はながら)と同じ漢字を持って表すのもどうでしょうか。「桜の花柄が長いのが特徴」と書くと意味不明に取られる可能性があり誤解を招くのは避けられないようです。