多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

コップの中のフジツボワンダーランド

朝、少し早く仕事に到着しそうなので砂浜に寄り道していくことにしました。イソシギイソヒヨドリが人の気配に気づいて飛び立ちます。何かきれいな貝殻でもないものかと思い歩いていると、ちいさなフジツボが付着した小石がちらほら見られます。以前にも拾ったことがあって、ちょうど人間の奥歯みたいのが何個か付いていて面白い。

それと5mmから10mm程度の小さな貝殻も結構あります。きっと波に流されてきたのでしょう。よく見るとちゃんと貝殻しています。大きくなったものと殆ど同じ形と柄ですね。当たり前ですが。ただただ尺度が小さいだけです。小さきものたちの抜け殻です。

なぜかいつも持ち歩いている小型のチャック付きポリ袋にフジツボ付き小石や小さな貝殻を入れて持ち帰ります。帰って虫眼鏡で鑑賞するためです。(他に、薄いゴム手袋も持ち歩いています。悪事のためではありません。)

自宅に帰って袋を開けると磯の匂いが強い。殻だけなのにそんなものかと思い、排水口に流れないように注意を払いながら水道水で充分洗うのですがまだ匂いが抜けない。それではと思い、使っていないコップに水道水を溜めてその中に貝殻たちを放り込んで一晩匂い抜きすることにしました。

それがおやおや?なのです。朝起きてコップをみると、空っぽだと思っていたフジツボの幾つかは、実は中身がいらっしゃったようで殻の中に口のようなものが見えています。恐らく生物がいたので匂いがあったのでしょう。海水のないポリ袋のなかで15時間ほどいたのにも関わらず生きていた。殻があるので乾燥に強いのでしょう。

こうやってコップの上から見ると少し不思議な世界が見えます。かわいい小さきものたちです。更に詳しく観察すると触手を何本も出しているのがわかります。その触手にはさらに小さいせん毛のような物も見えます。これで海中に浮遊するプランクトンなんかを取って食べているのでしょう。

で、中身はどんな生き物なのか知りたくなってネット検索しました。
状況は一変しました。
軽く戦慄し後悔しました。
閲覧注意です。
宇宙生物の逆襲です。

あんなおぞましいのがこの中に何匹もいると思うと少し焦りましたが、落ち着きを取り戻し冷静に考えてみて、いったい水道水でいつまで生きられるものなのでしょうか。

残念ながら餌となるであろう海洋性プランクトンの持ち合わせもありません。もしこのままこの攻殻エイリアンを生かすしたら恐らくプランクトンが入っているだろうと思われる海水を汲んできて、供給しつづけるしかないということになります。

しかし、運の悪いことに今日は外出し一泊する予定で、最短でも海水の供給は週明けの月曜日の夜9時以降になってしまう。それでよろしいでしょうか、と確認したが返事はありません。結構生きてそうな気もしますが。

しかし、困ったものが紛れ込んで持ち帰ってしまったようです。