多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

桃ヶ池公園のオロチ

昭和の日ということで「どっぷり昭和町」というイベントが開催されていて、ちょっと散歩がてらぶらぶらと桃ケ池公園まで足を運ぶ。

実の所、そこにはちょっと気になっていた小さな社があって、そこをゆっくり見てみたいというのが今日の本題。イベントの方は次いでとか口実といったところ。

桃ヶ池公園でお花見をする。というのが年中行事のようなもので、毎年春になるとこの公園を訪れては桜や桃の花を見ながらバーベキューしたりして楽しんでいた。(もう最近はバーベキュー禁止のようだが。)割と大きな池があって、もう少し季節が進むと今度は一面に蓮の葉が覆い尽くし、梅雨あたりで美しいピンクの蓮の花が咲く。それを写真に撮りたくて朝早く訪れたこともあったっけかな。

たまに何処からやって来るのか一羽のアオサギが、まるで良く作りこまれた置物のように息を潜めて獲物を狙っていたりする。多分、天王寺公園内の茶臼山のたもとの河底池であれと同じアオサギをよく見るので、その辺りからやって来たんじゃないかと考える。

そうそう、そういえば自宅マンションのベランダからなんとなく無機質な街の風景を見ていたらいきなり優雅に飛ぶアオサギが同じ目線でフワフワ飛んでいて(計算では地上39m)、その形の美しさに呆然とした記憶もあるから、結構生息しているのかもしれない。

そんな桃ヶ池公園の中の一角に小さな(ほんとうに小さい)神社があって、明神様が祀られている。股ヶ池神社というそうで、読み方は<マタガイケ>ではな<モモガイケ>と読む。なんでも飛鳥時代に11メートルの大蛇が現れ、まあいわゆるオロチというか、それを聖徳太子本人だか使いの者だったかが退治して、神社近くにある蛇島と呼ばれているところに埋葬したそうだ。しかし、それでも治まらず怪異が続いたそうで、それを沈め奉(たてまつ)るためにオロチ塚を作ったのが起源だそうだ。

それが本当にオロチだったのか、ゴロツキの悪党になぞらえたものなのかはわからない。しかし、そんな物語が今の現代社会に至るまで脈々と語り続けられ、これからも語り続けられる民間伝承。何かの教訓のように神は崇められ奉られ拝まれ続ける。

今でも蛇がいるという人も見たという人もいるようだし、蛇島には何故かどうやっても渡れないようになっているみたいだし、娘が小さかった頃に追い掛け回されていた白いニワトリのクーちゃんはいないようだったし(笑)。

帰りの夕暮れの空に二匹のツバメが空を落書きするかのように飛び回っているのを見た。こんな都会なかでたくましく生きる野生動物たちと、こんな現代社会に語り継がれる怪異譚とが二重写しのようにオーバーラップして見えたようだった。