多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

夏の終わりにポタリング

ようやく夏の暑さも峠を超えて、空も高く澄み切って秋を感じます。
天気もいいし気分転換にポタリングに出かけました。

しかし、日差しは強い。後頭部は汗が滴り落ちるぐらい髪の毛ぐっしょりになってしまいますが、影に入った途端に感じる少しひんやりした乾いた風は、とても心地よいものでした。

目的もなく走り続けて天保山に到着。すると何だか人が多い。もちろん海遊館天保山ハーバービレッジや観覧車など娯楽施設があるので当たり前といえば当たり前なのですが、それ以上に違和感を感じるぐらい多い。そうか、ポケモンGOか。

大阪でもレアポケモンの出現率が非常に高いスポットのようで、それを興ずる人があちこちにいるのです。皆、スマートフォンを指で操作する手つきが一様で大変盛り上がっているようでした。市バスで訪れた小学生の男の子と、決して無理やり付き合わされているようにも見えない父親が大はしゃぎでバスを降りた途端、目的の場所があるのでしょうか、手を繋いで走っていきます。中年の仲の良さそうなご夫婦も、奥様のほうがなかなかレアなポケモンを逃したらしく、旦那さんがまた次があるからと慰めています。

この一帯のすぐ近くに小さな公園があります。かつては名を馳せた、標高4.5メートルの日本一低い山である「天保山」がある天保山公園です。川を挟んで対岸に渡るための渡し船があります。そんな船乗り場の利用者も少なく、本来あまりひと気がないはずの公園にもかかわらず、こちらにも親子連れやカップル、または単独で捕まえに来た人がたくさんおられる。

ある時期、夜の風景を撮り歩いていた頃に何度か来ているのですが、その時はしんと静まり返った公園に綺麗な観覧車が見えて、何枚も写真を撮ったのを思い出しました。これはその時の写真です。2007年4月の夜景です。ポケモンではないですが、綺麗な光景を探して徘徊して、ようやく巡り合った。そんな瞬間です。カメラを手にし、いろんなことが初めてで、これから遭遇するまだ見ぬ世界をようやく見始めようとしていた。もうすぐ40歳を迎えようとしていた。この写真から、ずいぶん経ちました。

ポケモン効果で引きこもりの人が散歩をするようになったとか、自殺の名所に人が集まりだして自殺者がゼロになったとか。他にもレアポケモンの出現で地方での地域の活性化や経済効果が期待できるとか、色いろあるみたいですが本当のところはどうなのでしょうか。

そんな中に入り混じってヘルメット被ったままiPhone操作していると、2度ほど「いてました?」と声をかけられました。気合の入った自転車中年男が遠方より遥々やってきて頑張っているように見えたのでしょうか。

決して否定はしませんよ。実際、私のiPhoneにもアプリケーションをインストールしていますし、レアなものや強いポケモンは持っていませんがピカチュウニャースもゲットしました。

でも、いけません。こんな天気のいい日にその都度ポケモンゲットしているほど一日は長くない。まだお昼も食べていないし、何処で何を食べようかも決めていない。そろそろお腹の調子も悪くなってきたし、この暑さではそう長い時間走れるほど体力が続くとも限らないのです。

一度、仕事帰りにポケモンGOを興じながら帰ったことがあるのですが、随分帰宅する時間が遅くなってしまい、仕事疲れも相まって大変でした。だって走っている先々で出てくるんじゃないかとスポットまわって、少し遠回りしたり引き返したりしていると、なかなか前に進まない。いや帰れないのです。ながら運転は得意じゃないのと危険なので気を使っています。

帰りは流石に暑くて汗の量が多いし、お腹の調子も悪いし、何度も水分補給の休憩とコンビニでトイレを借りながら帰宅しました。

一昔前だったら公衆トイレは不衛生で使うのを躊躇するようなところばかりだった。卑猥な落書き、謎の電話番号、いったいどこぞの殺人現場なのだというぐらいいろんなものが飛び散って匂いもきつく、何よりトイレットペーパーがないのが致命的でした。

しかし、最近は何処のトイレも清掃が行き届き清潔であり、トイレットペーパーの残りの巻数を気にせず使えるくらい予備が備わっています。近代トイレの象徴たるシャワートイレの普及率も著しい。海外に何度か行った方ならわかると思います。日本のトイレ事情は非常に素晴らしいと感じます。

えぇっとですね。何の話だったでしょうか。
いつも、脱線してしまう。そして無駄に文字数も増えてしまうし、家族がそろそろ食事にしたいから、さっさとお風呂に入って欲しいと促されてしまいます。

【追記】

実は今回のブログで一番伝えたかった事が欠落しているのに気づいたので追記します。読売新聞で毎月一回連載されている「時の余白に」という読売新聞の編集委員の方のエッセイがあり、毎月楽しみにしています。そこでこんな事が書かれていて紹介したいと思い書き始めたのがいつものように脱線してしまった次第です。

"街のあちこちにひそむという架空の生き物を求めて、膨大な数の人間が捕獲器片手に一斉に外を歩き回っています。"

"当方の驚きは、もっと素朴なものです。人間はこれほど簡単に、やすやすと、何かに操られてしまうものか、これほど無防備に、疑いもせず、一斉にはまってしまうのか、という驚きです。その薄気味悪さです。"