多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

石垣の構造計算

昨日、今日と大変天気がよく、気持ちいいです。秋の気配を感じる今日この頃です。

最近は体を動かすのが楽しいので、午前中は長居公園でウォーキングと軽いランニング。午後はクロスバイク大阪城までのんびりポタリング。我が人生において、これほどスポーティでアクティブな自分は未だかつてないほどで、そんな自分に驚いています。

気温28℃、湿度39%なので汗をかいてもベタベタしなくて気持ちがいい。疲れて帰ってきてもまだ4時。なんか一日が長い気がします。シャワーで汗を流し、涼しい風に吹かれて、心地よいまどろみに導かれながら書いています。

大阪城の堀の水面にぼんやり反射した鏡像が現れ、湿度が低いせいでしょうか、石垣の色も空の青さも漆喰の白もくっきりとして綺麗でした。そんな光景を見て面白い話を思い出しました。

何かの本で読んだのですが、現代においてこの石垣というものを作れないらしいです。大きな岩を削り出す、運搬して吊り上げ組み上げる、という行程は大型の重機があれば(予算は掛かるにせよ)施工することは可能なはずなのにどうして、と思いました。

今や300m超のビルだってかなりの精度で建築可能な技術を持ってして何故、と思うわけですよ。そうなると、日本刀の製鉄技術のような現代では再現出来ないロストテクノロジーの類なのかとも思いましたが、どうやら違うようです。

何故かと言うと、石垣を築く際に石の大きさや形状が一個一個違うため構造計算が出来ないので、国土交通省が許可しないというのです。耐震基準を満たしているか否か、安全性を確保出来ているかどうかを判断することが出来ない、というのがその理由だそうです。

私はプレスマシンや産業用ロボットなどの機械の設計をしています。その際、不安な箇所があると強度確認のため応力の計算などを当然行います。構造物の部分的な形を丸棒や梁におきかえる簡易的な強度計算ですと電卓を叩けば算出可能です。

また、形状が単純化出来ないものや、複数の荷重やモーメントなどが同時に働く場合においては、3Dモデリングを作成して解析を行い、構造物の強度面での妥当性の評価を実施します。

逆に言うと、どんな材質で、どんな幾何学的な形状のものが、どの方向からどれぐらいの物理的な量の力が加わるか、それがわかっているから計算可能なのです。

しかし、形状がそれぞれ異なる石を積み上げて行くと計算が難しくて出来ないそうです。そんなものなのなのでしょうか。


こちらは大阪ビジネスパーク。透明なビル状態でそびえ立っています。柱や梁の大きさやそのレイアウトがわかっていて、鉄骨やコンクリートの強度もわかっているのでもちろん構造解析可能ですね。

現代の技術の粋を集めた巨大なビル群を背に、手前の黄色い建物が茂みからひょっこり顔を覗かせているいうで愛嬌があり可愛いですね。