多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

iPhoneと阿倍野ラン

夜のうちに雨が降っていたようで路面は濡れており、重苦しいどんよりとした曇り空の朝。そんな中、朝食前のランニング。家族はまだ眠っています。

走るコースも特に決めず、気のおもむくままにゆっくり走ります。ときどき歩きながら腕を回したり背中を伸ばしたり。走るときもiPhoneはランニングパンツの腰にある鍵なんかを入れる小さなポケットに忍ばせて走っています。ここだと上下に大きくはねたり、ゴソゴソと走るのにじゃまになったりしません。

走った後はアプリケーションで歩数と距離や走行ルートが確認できるので、どれだけ走ったか把握できます。iPhone内蔵の加速度センサーとインターネットとGPSを組み合わせるといろんなことが出来るようですね。また、内蔵のカメラで走っている途中で気に入った風景やモノをスナップ。音楽を聴きながら走ったていいですし、本当に便利なものです。

これほど急激に私達の日々の生活における様々なシュチュエーションに浸透し、「なくてはならないモノ」になったスマートフォンタブレットの類。これからヒットする商品のキーワードというのがあるのだとしたら、きっとそれは人が依存してしまう「なくてはならないモノ」というのものではないでしょうか。

そんなことをつらつらと考えながら走りだし、しばらくすると私の娘が通う高等学校の校舎の横を走りました。およそ90年前に建てられた古い建物で、赤いレンガと苔や蔦の緑がきれいですね。入試の時の体験学習や説明会、作品展などで何度か校舎内に入ったことがありますが、中庭は板張りで大変落ち着いた雰囲気があり、古き洋風建築の良さを現代に活かした空間のある学び舎といったところでしょうか。先月の作品展に行った時の校舎内からの風景です。桜の木が見えます。桜が咲くとまた綺麗なのでしょう。

まっすぐ走って行くと電車が上を走る高架にたどり着きました。この界隈はJRや私鉄の大きなターミナルがあるせいか高架が多いです。その高架の下を住居や店舗がひしめき合っており、どの建造物も古いものばかりです。風格がある構造物を幾つか撮影。

高架の上を更に新しい高架が交差しています。鉄筋コンクリート構造は圧縮応力に強いです。頑張って支えている感じに共感を覚えます。

道路の上を交差していく高架。補強材のアーチがイカしています。接合部分は一見ボルトのように見えますが構造物のサイズからすると本数が多すぎます。溶接部分もないのでリベット接合でしょうか。

写真には位置情報が組み込まれるので、後にこれは何処で撮ったものかも地図データからすぐにわかるのが便利です。その高架に沿って走っていくと街の中心部にたどり着きました。

先ほどの古い高架とは対照的に新しくなった阿倍野の歩道橋。橋梁の上部構造の高さや幅が変化していく複雑なデザインで、その構造を支える三角形の集合体で構成された丸柱のトラスは曲線を描き、隣接するハルカス、Q’sモール、ステーションビル、天王寺公園を周回して繋ぐロータリーの役割をしてます。美しいデザインと強度や振動特性にも優れ、歩道橋としての機能性も併せ持っています。夜にはこんな感じです。

あべのハルカスも開業一周年ということで色々イベントが催されているようです。阿倍野再開発でこの街の中心部は多くの人が訪れる近代的な街へと大きな変貌を遂げました。人気のない歩道橋を走行中、ふと阿倍野に訪れる人は1日に何人ぐらいだろうかと思いネットで検索してみました。すると驚いたことに1日に73万人もの人が行き交うとさえ言われているようです。

そんな都会の真中を小さなパーソナルコンピュータをお尻のポケットに入れてランニング。結構発見があって面白いです。そして、体を動かすと頭がスッキリしていくのがわかります。ゆっくりしたテンポで道草しながらのランニング。帰ってアプリケーションで確認すると走行距離6.7kmということでした。

寒さも日々和らいっでいくのを肌で感じ、かわいい梅の花が咲いていてもうすぐ春なのだと、また季節がひとつ進んだのだと、そう感じました。