多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

階段

十年くらい前だろうか。当時、鋼鉄性の歩廊や階段ばかり図面を描いていた時期があった。プラント内を作業者が点検して廻るために設けるのだ。

H形綱で柱を建て梁を繋いでいく。数百ミリ毎に床材がたわまないようにアングルで根太を通す。その上にチェッカープレートやグレーチングを敷き手摺りを付ける。柱・梁等はボルトで締める。それ以外は溶接する。構造計算をして選定した鋼材のサイズの妥当性を検討し、極力現場溶接を少なくし、工場で作ったどれぐらいの大きさのパーツを何処から入れるか、搬入の事まで考える。

地下1階から始まり5階くらいまで各階全てレイアウトして、動線を考慮し遠回りしないでいいように多くの階段を設ける。スペースがなければ螺旋階段やタラップを使う。

ひとつのプラントでA1サイズ数十枚から数百枚のボリュームになる。それを一人ないし二人で数ヵ月ぶっ通しでCADで描いていく。それでいて短納期で予算が少ないので、たまったものでわない。

いびつな鋼鉄製階段を見ると、そうせざるを得なかったであろう苦労が伺える。