多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

音楽祭と夢の乱入者

毎年恒例のお楽しみ行事の帝塚山音楽祭に行って来た。前日の大雨で天候が心配されたが雨も上がり、例年ながら盛り上がっていた。

あらためてパンフレットに目を通した。大学や短大が移転したので若者の姿が減ったため、街の活気を取り戻そうと22年前から阿倍野区住吉区が力を合わせてこの音楽祭を運営しているそうだ。二日間、万代池にステージが3カ所設けられて、プロ・アマの音楽家やダンサーのステージが繰り広げられる。フリーマーケットやカクテルバー、美味しい料理が売られ、地元の方のみにとどまらず多くの方が訪れてお祭りムードで楽しい。また、周辺の十数の会場でも同時に音楽演奏などのイベントが行われる。

今回の僕のお目当ては日本のジャズギタリストの第一人者である渡辺香津美さんの演奏だ。これが野外でビール飲みながら無料で聴ける。無料というのは演奏家には大変申し訳ないが、なんといっても「お酒を飲みながら野外」がいいのだ。(一昔前はそんなジャズフェスがあって楽しかった。)さらに、ベースが清水 興さんでドラムが東原 力哉さん。もうこれは面白くないはずがない。随分前にテレビの深夜番組で「夢の乱入者」という番組があって、そのお三方がステージに立つ。

「みんなのあこがれ、渡辺香津美」と良くいったもので、どんなジャンルでもいい意味で模範演奏できるすごい人。御年55歳という事だが、お洒落でかっこいいのは全く変わらない。「いい年の取り方」とか考えさせられる所など、若い人だけでなく人として憧れるのはうなずける。もちろん演奏もすばらしいし、ベンチャーズサウンドなんかのロックテイストも見え隠れして、彼しか出来ないジャズを堪能した。

約一時間半弱、十分楽しんで満足できた。僕はプロギタリストという仕事を途中でドロップアウトしたしまった人間なので、40年近く一線で活躍するその凄さを充分理解するし、そんな苦労も感じさせないぐらい人に影響を与え続けていくパワーを少し分けてもらった気がした。前日の阿倍野区民ホールで行われたピアノとのデュオも観に行けば良かったと少し後悔した。

この日の為にボランティアを含めたスタッフが企画・運営し、アーティストは腕を披露し、人々は楽しみにし、皆の思い出になり・・・そんな風に街は作られていくって思うと、この音楽祭に僕自信も観客として参加している楽しさを味わえた。

最後にパンフレットにこう書かれている。


『わたしたちの街には、素敵な音楽祭がある。』と、自慢してもらえるように続けていけたらと考えております。