多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

雪の結晶

新しい年が始まった。
元日の夕方に兄夫婦と犬2匹、我が家4人で実家に帰った。この冬一番の冷え込みで、予想はしていたがとても寒い。

僕が住んでいた頃は、今よりもっと厳しい寒さだった。よくこんな寒い所で生活していたものだ。雪は何日も降り続け、春になるまで全ての雪は溶ける事が無かった程だ。朝には窓は全面氷の奇麗に成長した模様ができ凍てついてなかなか開かない。油断をして夜に水道の水をちょろちょろ出していないと、翌朝は水道管が凍結して水が使えなかったりする。池や水溜りに張った厚い氷を割ったり、田や畑の霜柱をざくざく踏んで遊んだものだ。当然屋根にも雪が積もりそこから大きな氷柱(ツララ)がいくつも出来ていて、友達といかに立派な氷柱が取れるか競い合った。まだ藁葺きの屋根の家が多かったので、かなり大型の氷柱を思い出す。

そんな氷遊びや等身大の雪だるまや雪合戦。当然手と足の指は霜焼けだらけだった。そんな足で練炭のコタツに入ると霜焼けがひりひり痛む。熱いお湯と冷たい水に患部を交互に付けると早く治るとかやっていた。風邪をひかないように火鉢の網で焼いたみかんを食べたり、風邪で喉が痛くなると、ガーゼに日本酒をしみ込ませて喉に巻いて寝たり。足が冷えないように靴下に唐辛子を入れたり(僕は未経験)。厳しい冬の中で生活するために人々は色んな知恵を持っていたのだ。

元日の夜に長女(小三)と散歩に出た。少し雲は出ていたが晴れた夜空を見上げると冬の星座が瞬いていた。生まれてからずっと都会暮らしをしている娘は、図鑑やプラネタリウムでは無い自分の肉眼で初めて見るオリオン座に感激の様子だった。僕が知っているのは北極星カシオペア〜北斗七星とオリオン座ぐらいしかわからないので、詳しい説明は出来ない。

翌朝、薄らと粉雪が積もっていた。近年は雪が降る事はあっても、ほとんど積もる事はない。子供達は少ない雪を掻き集めてなんとか手のひらに収まるぐらいの可愛い雪だるまを作っていた。粉雪は雪玉を作ろうと思っても固まりにくい。そのひとつひとつが氷の結晶なのだから。雪の結晶を見るのも子供達は初めてなので、またまた驚いている。

「絵で描いてある雪の結晶と同じ形してる。」って。・・・それ逆(笑)。