多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

もうこれは嫌がらせ

すっかり夜の様相を呈し、歩き疲れた僕の目の前に巨大建造物がその姿を現す。

北港舞洲を結ぶ此花大橋。とても美しい橋である。しかし、歩行者が利用するための階段、ちょっとやり過ぎ。

というか、人が登るのを拒絶しているのか、はたまた何かの罰ゲームの予感をはらむ。ここまで長い距離を時間をかけて、のこのこ歩いてやって来たのに。うなだれながら呆然と立ち尽くし巨大な階段を見上げる。疲労困憊した体にこみ上げる怒り。

いや、別に怒ってなんかいない。ここまで来ると、可笑しさが・・・やり過ぎ(笑)・・・。おまえな、そんな事だから誰も登んないんだよ。もっと、相手の気持ちを考えなさい。と、ぶつぶつ呟きながら、三脚持った男が一人登って行く。