多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

カワセミ

今年の二月も終わりに差し掛かった頃だったでしょうか、それでも春の訪れを拒むような寒さの中、公園を散歩中に青い鳥を見つけました。カワセミです。

清流の宝石と称され、漢字表記では翡翠(ヒスイ)と書いてカワセミと読まれるほど、その美しい羽根は宝石に讃えられているほのです。青い羽根の中に星が散りばめられたように模様が入ってじつに美しい。

清らかな山間にいるようなイメージを持っていたのですが、意外にも都会での生活に適応してたくましく命を繋いでいるようです。自然選択、適者生存です。

都市化が進み水質環境が悪化して町中では見なくなったとされていましたが、最近は河川の環境が改善されたため餌となる小魚が増えたためかこんな都会でも繁殖が確認されています。確かに餌となるメダカやオイカワといった清流に住んでいる魚もよく最近は見る機会が多いですね。

私自身も目撃して依頼、何処に行っても川や池があると青い鳥の影を無意識に探してしまいます。こちらさえ見つける気になりさえすればカワセミの姿を見る機会は多いものなのです。

それから機会があれば同じところに行ってカワセミを撮影に行きました。よく同じ方々が重装備で出待ちされているのを見るので、割りと有名な出現スポットなんでしょうか。何度か通うと一匹だけではなく、オスメスのつがいでいるようです。ちょうど繁殖の時期だったのでしょうか、右側のくちばしの下の赤いのがメスだそうです。3月下旬に撮影したものです。

それから甲高いチィ、チィ、チーというさえずりとともに飛び立ってゆく二羽のつがいを見かけるようになりました。

随分と間が空いて8月も下旬、久しぶりにいつもの出現場所に行くと一匹のカワセミが佇んでいます。通りかかったおじさんが話しかけてくれて、どうやら今年に巣立ちしたばかりのカワセミのようです。実際、身体も小さいし胸のあたりの羽の色も幼気です。その方の情報ではこのあたりに巣立ったばかりのカラスが5匹いるようで、そのカラスが幼いカワセミを追いかけまわすそうです。ちなみにそのことを教えてくれた人はカメラも双眼鏡も持っていません。いつも散歩するのでよく知っているそうです。

小さなカワセミがカラスに追い払われていた、というのは他のカメラマンの方も同じ日に言っていたので、かなり有力情報です。おそらくあのつがいの子供なのでしょう。

しかし、餌取りは上手でした。魚を狙う回数は少ないですが、的確に獲物を捉えるところは流石です。少し大きすぎる魚を捕らえてしまってうまく丸呑みできずにもがいていたり、くちばしが魚の鱗にまみれていたり、人間の赤ちゃんが食事の時に口元をベタベタにするのと似ていて可愛いものです。

親鳥でしょうか、地鳴きとともに現れてそれにつられるように飛び立ってゆきました。その間1時間近く、じっくりと観察ができました。日差しが強くて真っ黒になりましたが。

これからも観察、撮影していきたいです。