多弦楽器の暴奏

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

心よりいず、願わくば再び心に至らんことを

チューニングメータあれこれ

便利で高性能なアクセサリが増えて、随分ギターを取り巻く環境も変わって来たものだ。ギターの調弦には欠かせないチューニングメーターがその最たるも物の一つと言えるだろう。実際、僕がギターを始めた頃は音叉で調弦するのがスタンダードで、上手に調弦できるのが演奏を含むそのギタリストとしての「巧さ」と評価されたりもした。その後、アナログメーター式チューニングメータが登場し、正確な楽器のピッチが誰でも簡単に手に入れる様になった。そして、どんどん使いやすくなり、小型化した。今はギター本体のヘッドにクリップで直接挟むクリップ式が人気を呼んでいる。音を拾うピックアップを内蔵しているので、以前の様なコンタクトピックアップをチューナーに接続する煩わしさもなく、付けたままステージで使用してそのままケースにしまえる便利さがある。今回、ARIAのクリップ式チューニングメータを購入してみた。早速、検証してみる事にする。

今回このARIA「ET-360」を選んだ理由を挙げてみる。
1.値段がとにかく手頃。ネット販売で送料込みで2000円程度で買えた。
2.デザインが可愛い。
3.バックライト付きの液晶でピッチが合うと色が変わる。
比較対象は、現在愛用しているKORGの「AW-1」との比較をしてみる。

まず1.。近所の楽器屋さんでKORGを定価で買ったしまったので、値段は非常に安い。KORGは専用の頑丈な収納用のケースと用途別に使い分けるピエゾピックアップが2つ付いているので、ARIAは安くて当然か。クリップが何だか頼りなく不安定でホールド感に掛ける。実際、挟み込むヒンジの作りが安価なイメージ。値段相応か。

2.これは問題ない。ギタレレ用に買ったので、付けてみると実に可愛い。

3.バックライトのないKORGに対し暗い所でも視認性がいいが、メーターの感度が悪い。少しの振動で瞬時にピッチ表示するKORGとは比較にならないぐらいもたつく。ジャストピッチで液晶のバックライトが赤から緑に変わるが、緑に光るピッチのセント幅が大きいし、液晶の目盛り自体が荒すぎて微妙なピッチ変化を感じ取れない。色が変わるのはオマケ程度の子供だましのギミックと感じた。感度の悪さはピエゾの性能かクリップの甘さか、どちらかは解らない。

相対的にみて、だいたいチューニングが合えばいいくらいのつもりで、初心者用か耳で合わせる事を前提としたサブメーターぐらいのつもりで買う分には、安くていい物だと思った。しっかりチューニングするには少し問題あり。大切なのはピッチ精度と内蔵ピエゾピックアップの感度と視認性かと思う。値段的には数千円の違いなのだから、ここはケチるところではないと思う。

余談だが、性能比較のため長年使っていたBOSSの「TU-12」も使ってみたが、これが流石だった。世界の定番と呼ばれるのにふさわしいコンパクトチューナーだと思った。やはりアナログ式の高性能が一番使いやすい。発売して何十年も経つのに何の仕様変更もなく未だに全世界で売れている人気商品はすごいと思う。物作りに携わる僕としては、この開発力には尊敬する。恐らくこのアナログ式はもう十年は売れ続け、そのロングセラー記録は塗り替える事はしばらくなさそうだ。


以上、レビューでした。